僕は新年を迎えることにした。
やれやれ、新年とはなんだろう?
よくわからないな。
旧年はかつてここに存在していたか、あるいは元から存在していなかった。
ただひとつ言えることがあるとすれば、君と過ごしていた旧年は今、ここに存在していないということだ。
にわかには受け入れがたいことだが、
すんなりと月曜日の午前0時、数十秒前に忘れてしまった年越しとやらを体験した。
感動もなく、僕たちはそんな風に年を越していった。
世の中とはそういうものだ。
そして新年が現れた。
―――これはあくまで僕の考えだが―――
それは、新年のようにも旧年のようにも見えた。
オーケー、認めよう、ヤツは新年だ。
あるいはそうかもしれない。
僕はギュスターヴ・クリムトの絵画のような終末の香りがする夜空を見上げ
ひどく、むなしい気持ちになった。
そして僕は小麦粉と卵を買い、家に戻った。
そして年越しそばに天ぷらを乗せ、食後にウイスキーを流し込んだ。
たとえ、新年が何であろうと。
好む好まざるに関わらず、僕は新年を迎えなくてはならない。
やれやれ。
では、また。