・・・これは、本当にあったお話です。
私の知人から聞いたお話なんですけどね・・・。
・・・和歌山県和歌山市に、築港と呼ばれる海の玄関口にあたる場所がありまして。
この辺りでは、
昔から7月になると、港まつりっていう花火大会が開催されるんですね・・。
小さい町ですが、それでも祭りの夜には万を超す人が一気に訪れるわけです。
これは、その花火大会で体験した男性の話です。
そうですね、仮にこの方を「Aさん」としましょうか。
会社が花火大会会場が近いのもあって、Aさんは防犯を兼ねて毎年のように店番をするんです。
それでも、せっかくのお祭りですよ?
Aさんだって、花火を楽しみたいじゃないですか。
そう思って
バーベキューセットやら、クーラーボックスを持ち込んで
会社から花火を見るのを楽しもうって用意していたんですね・・・。
ありがたいことに、Aさんの周囲には一緒に過ごしてくれる人もいて
和気あいあいとして空気の中、祭りの夜は始まったのでした。
Aさんは早速、コンロに肉を置いて
ジュゥゥゥ・・・、ジュゥゥゥゥゥゥ。
ああ、炭火はさすがに熱いな・・・。
ただでさえ猛暑の上に、調理の熱気でAさんは
汗がファァーーーっと、吹き出してきたんですね。
暑いなぁー、暑いなぁー。
・・・その時!!
なんだか遠くの空が、ピカッ!っと急に光ったんですよっ!
Aさんは、ハッ!と驚いて光った方向を目を細めるようにして覗いてみたんですね・・。
そしたら今度は・・・、バァン!!っと大きな破裂音がして、Aさんは思わず「うわぁ!」と
声を上げて腰を抜かしてしまったんですね。
「コイツ・・・、この世のモノじゃない・・・」
とっさにAさんはそう判断し、恐怖のあまり頭を抱えてうずくまり
目を開けることができずに震えていました。
しばらくして、
「・・・Aさん、Aさん!」誰かに揺らされ、ハッと我に返って見上げると
そこには・・・
従業員のFさんが心配そうにこちらを見ていました・・。
Aさんはこちらを見つめるFさんを「うゎ~・・、ヤダなぁ・・」と、思いながらも「はい?」と返事しました
「どうしたんですか?花火でびっくりして」そう説明するFさんに「うゎ~・・、ヤダなぁ・・」
と、感じながらも、Aさんは気を取り直して肉を焼こうとしました。
「大丈夫?」とFさんが心配するのを「うゎ~・・、ヤダなぁ・・」と思いながら、
焼けた肉をFさんに「うゎ~・・、ヤダなぁ・・」と考えながら渡しました。
しばらく肉を焼き続けていました・・。
今晩はフンパツして、良質の肉を用意したので、Aさんも肉を食べれるのを楽しみにしていました。
ふと気が付くと、そこにあった肉が無い・・。
あれぇ?おかしいなぁ・・・、おかしいなぁ・・・?
隣ではFさんが口をモゴモゴさせながら「美味しいなぁ・・・、美味しいなぁ・・・」
と繰り返しています。それを見たAさんは「うゎ~・・、ヤダなぁ・・」と何かに亡念しながらも
自分が食べたいので次々と焼いていきます。
それでも・・・、
肉は・・・、
次々と消えていきます・・・。
食べる前に・・・。
Fさんは、ひたすら「美味しいなぁ・・・、美味しいなぁ・・・」と念仏のように繰り返し
せっせと焼くAさんに「Aさんも食べればいいのに?あ、肉がなくなっていくのか?ったく、誰だよバカスカ食べてくヤツは!?」
それを聞いたAさんは
「それはお前だぁぁぁぁ!!!」と、燃え盛るコンロの前で花火の大音量に向かって叫びました。
そうは思っても、Aさんは引くに引けない状況にもありまして
もう、食べれるまで焼くしかない。そう決めたAさんは、花火が終わるまで焼き続けました。
終盤にさしかかり、Fさんが、「ゲフゥ・・」と息を吐き、倒れこむように動かなくなりました・・・。
これでようやく、いい頃合いに焼けた肉がAさんの手元に残りました。
Aさんが、ゆぅぅぅっくりとお肉を口に入れ、
2回、3回と租借をすると・・・。
スッ・・・と、溶けるように消えていったのでした。
夏の本当にあった話でした。
おかしいなぁ・・・、おかしいなぁ・・・。
夏だからって、稲川淳二風にするのは文章じゃ無理があるよ・・、解りづらいよ・・。
では、また。